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厚生年金とは何か?仕組みと国民年金との違いをFPが簡単に解説

厚生年金とは?仕組みと国民年金との違いをFPがわかりやすく解説

 

会社員や公務員が加入している厚生年金ってどういう仕組み?
国民年金との違いも簡単に知りたい。

そのような疑問に答えます。

 

 

厚生年金とは?まずは年金制度全体の仕組みを簡単に解説

厚生年金とは?

 

まずは年金の全体像を簡単に説明します。

 

日本の年金制度は強制加入の公的年金と任意加入の私的年金の2つに大きく分類されます。

公的年金には国民年金と厚生年金があり、私的年金には国民年金基金、個人年金保険、確定給付企業年金、確定拠出年金があります。

その中で厚生年金は『サラリーマンの年金』とも言われ、基本的に会社員や公務員は強制加入となっています。

 

公的年金

(強制加入)

国民年金(基礎年金) 賦課方式
厚生年金
私的年金

(任意加入)

国民年金基金 積立方式
個人年金保険
確定給付企業年金
確定拠出年金(iDeCoなど)

 

なお、大前提として公的年金の正しい考え方は「長生き」というリスクへの保険です。

積立貯蓄や生活保護ではないので注意しましょう。

※公的年金=保険という考え方がズレてしまうと余計な損得勘定が出てくるため大事な分岐点で誤った選択をする恐れがあります。

 

 

厚生年金の仕組みを解説-①加入編

 

お断り

公的年金制度の仕組みは複雑極まりなく、詳細まで書こうとするとキリがないのでわかりやすさを優先するためにも比較的ザックリ表現しています。ご了承ください。

 

まずは厚生年金の加入要件について説明します。

 

厚生年金の被保険者

原則として、サラリーマンや公務員は厚生年金の被保険者(強制加入)になります。

 

給与明細を見ると厚生年金保険料が引かれてるよね!

 

パートやフリータ-の場合も勤務日数・勤務時間がある程度ある場合は厚生年金に加入しなければなりません。

また、厚生年金の被保険者は国民年金の第2号被保険者になるため、国民年金にも加入していることになります。

 

ただし、国民年金の被保険者期間は20~59歳(最大480ヵ月)で481ヵ月以上納付しても保険料は増えません。

60歳以降も厚生年金保険料を払う場合、既に480ヵ月払っている人は国民年金分が払い損になることも理解しておきましょう。

 

高齢任意加入被保険者

70歳になっても国民年金の保険料納付が不足している人が社会保険加入の会社で雇われている場合、任意で厚生年金に加入することができます。

かなりのレアケースですが一応そういう制度もあります。

 

厚生年金の仕組みを解説-②納付編

厚生年金の仕組み-納付編

 

まず、厚生年金保険料の基本として以下の2点は抑えておいて下さいね。

1.保険料は会社と個人が折半で払っている
2.厚生年金保険料には国民年金分も含まれている

では具体的な保険料について解説します。

 

厚生年金の保険料

厚生年金の保険料は「標準報酬月額」という額に保険料率(18.3%)を掛けた額になります。

標準報酬月額は月収の平均を基に等級分けされ、1等級(8万8千円)から31等級(62万円)までの31等級に分かれています。

 

厚生年金保険料は給与天引きのため、自分の標準報酬月額は給与明細に記載してあるはずです。

保険料率は18.3%(2020年2月時点)で、これを労使で折半するので個人の負担は9.15%となります。

 

例:標準報酬月額300,000円(19等級)の場合

300,000円×9.15%=27,450円

 

※標準報酬月額は4・5・6月の月収の平均を元に毎年見直され、それが9月~翌8月まで適用されます。

つまり、4~6月の残業が多いと保険料が少し高くなってしまいます。

 

賞与からも別途徴収

賞与の明細を見ると分かると思いますが、賞与からも『標準賞与額×18.3%』が労使折半で徴収されています。

標準賞与額は賞与の額から1,000未満を切り捨てた額が適用されます。

 

産休・育休中は保険料免除

産休・育休(子どもが3歳になるまで)期間中は労使共に保険料が免除されます。

 

ポイント

厚生年金加入者=国民年金第2号被保険者なので、厚生年金保険料には国民年金の保険料も含まれています。別途納める必要はありません。

 

 

厚生年金の仕組みを解説-③給付編

厚生年金の給付

 

公的年金の給付は3種類あります。

  1. 老齢年金・・老後の生活を支えるための年金
  2. 障害年金・・障害者となった場合に給付される年金
  3. 遺族年金・・被保険者が亡くなった場合に遺族に支給される年金

 

納付編でも触れましたが、厚生年金加入者=国民年金第2号被保険者なので、厚生年金保険料には国民年金の保険料も含まれています。

そのため、給付時は国民年金(基礎年金)と厚生年金両方から受けることができます。

 

老齢年金 障害年金 遺族年金
国民年金 老齢基礎年金 障害基礎年金 遺族基礎年金
厚生年金 老齢基礎年金
老齢厚生年金
障害基礎年金
障害厚生年金
遺族基礎年金
遺族厚生年金

 

国民年金からの給付が知りたい方は国民年金制度の仕組みをFPがわかりやすく解説をご覧ください。

 

1.老齢厚生年金

年金=老齢年金というイメージもあると思います。

老後の生活を支えるための年金です。

 

老齢厚生年金の受給要件

・老齢基礎年金の受給資格期間(10年)を満たしていること

・厚生年金の加入期間が1ヵ月以上であること

 

老齢厚生年金の年金額

老齢厚生年金の年金額は、平均標準報酬額(賞与込みの平均月収)と被保険者期間でおおむね決まります。

正確な計算式を書くと複雑すぎてこの記事から離脱されそうなのでザックリな計算式を書きます。

 

老齢厚生年金額

平均標準報酬額÷200× 被保険者月数

 

例えば平均標準報酬額が50万円で40年間加入した場合、50万÷200×480=120万円になります。

これに老齢基礎年金(満額なら約78万円)がプラスされるので、年間200万円ほど支給されることになります。

 

なお、正確な計算方法が知りたい方は日本年金機構のページをご覧ください。

 

繰上げ受給と繰下げ受給

受給開始は原則65歳ですが、受給開始を前後5年の範囲内で繰上げor繰下げることもできます。

なお、繰上げた場合はひと月につき0.5%減額(5年で-30%)、繰下げた場合はひと月につき0.7%増額(5年で+42%)されます。

どちらが得かは何歳まで生きるかで変わってきますが、年金=長生きへの保険という本質を考えるとギリギリまで繰下げて42%アップした年金を死ぬまでもらう方が私はおすすめです。

ちなみに老齢厚生年金と老齢基礎年金の繰上げは同時に行わなければいけませんが、繰下げは別々で行えます。(ややこしいですね。。)

 

加給年金

加給年金とは年金の家族手当のようなもので、要件を満たす場合は受給額に加算されます。

◆加給年金の受給要件

・厚生年金の被保険者期間が20年以上あること

・65歳未満の配偶者または18歳未満の子どもがいること

◆加給年金の受給

・配偶者・・・224,500円

・子ども・・・第2子まで各224,500円、第3子以降は各74,800円

 

2.障害厚生年金

障害厚生年金

 

厚生年金の被保険者が障害により生活や仕事に支障が出た場合に支給される年金を障害厚生年金と言います。

 

障害厚生年金の受給要件

以下の受給要件を満たす場合、障害基礎年金の受給対象となります。

①厚生年金の被保険者
②国が定める「障害認定基準」の1級・2級・3級に該当すること

 

障害厚生年金の受給額

障害厚生年金の受給額も、平均標準報酬額と被保険者期間でおおむね決まります。

これまた計算が複雑なのでザックリ書きます。

 

障害厚生年金額

1級 平均標準報酬額÷200× 被保険者月数×1.25+配偶者の加給年金(224,500円)

2級 平均標準報酬額÷200× 被保険者月数+配偶者の加給年金(224,500円)

3級 平均標準報酬額÷200× 被保険者月数

※配偶者の加給年金は、65歳未満の配偶者がいる場合に加算されます。

※なお最低保障額があり、被保険者期間が短い場合でも最低58万円は支給されます。

 

障害手当金

障害等級3級に満たない障害の場合は、障害手当金という一時金が支給されます。

支給額は障害等級3級の2年分の金額です。

 

3.遺族厚生年金

遺族厚生年金

 

厚生年金の被保険者が死亡した場合に遺族に支給される年金を遺族厚生年金と言います。

 

遺族厚生年金の受給要件

以下の受給要件に該当する場合、遺族厚生年金の受給対象となります。

①被保険者期間中の傷病がもとで初診の日から5年以内に死亡したとき
②老齢厚生年金の受給資格期間が25年以上ある者が死亡したとき
③障害厚生年金1級・2級を受けられる者が死亡したとき

 

なお、遺族基礎年金と違い子のない奥さんや孫・祖父母までに受給権があります。

※30歳未満の子のない妻は、5年間の有期給付となります。

 

遺族厚生年金の受給額

ここもザックリ書かせてください。

遺族厚生年金額

平均標準報酬額÷200×被保険者月数×75%

 

中高齢加算

夫が亡くなった時点で40歳~64歳の妻で18歳未満の子がいない場合、中高齢加算として585,100円(年額)が加算されます。

 

 

国民年金と厚生年金の違いを解説

国民年金と厚生年金の違い

 

国民年金と厚生年金の違いを表にまとめました。

そもそも国民年金の仕組みがよくわからないという方は、一旦「国民年金制度の仕組みをFPがわかりやすく解説」をご覧ください。

 

国民年金 厚生年金
加入者 自営業・フリーランス 会社員・公務員
保険料 一律(¥16,410) 収入に比例、会社と折半
年齢要件 20~59歳 なし
受給額 一律(¥780,100) 収入と期間に比例
障害年金 1級・2級 1級・2級・3級・一時金
遺族年金 子ありに限定 子なしも受給可
オプション 付加年金 加給年金、扶養

 

厚生年金の仕組み-まとめ

原則として、会社員・公務員は厚生年金に加入している

厚生年金加入者は国民年金にも加入していることになる(第2号被保険者)

厚生年金の保険料は「標準報酬額」に比例し会社と個人で折半している。

厚生年金の給付額は「標準報酬額」と「被保険者月数」に比例する

 

この記事ではかなりザックリ書きましたが、厚生年金は保険料も年金額も一律でないため計算がとても複雑です。

だからと言って、めんどくさいと目を背けていると想定外の老後が待っているかもしれません。

ただでさえ、サラリーマンは源泉徴収という仕組みのせいで天引きされるお金にとても無頓着です。

おそらく数十年後の年金額はこれよりも下がってるため自助努力が必要という声もどんどん高まっています。

>>【初心者向け】資産運用の種類を紹介!少額でも始めるべき理由を解説

 

自分の年金状況はねんきんネットでいつでも確認できます。(もしくはねんきん定期便)

これをきっかけに年金制度について少しでも理解が深まれば幸いです。

 

今回は以上です。

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