この記事で分かること
- 『ずるい考え方』の要約・感想が分かる
- ラテラルシンキングとは何かが分かる
- ラテラルシンキングに必要な3つの力が分かる
こんな方におすすめ
- ラテラルシンキングの基礎を学びたい方
- 常識・ルール・先入観に縛られたくない方
- 柔軟な発想力を身につけたい方
- コンピューターに仕事を奪われたくない方
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もくじ
『ずるい考え方』の基本情報【その手があったか!】
まずは『ずるい考え方』の基本情報について見ていきます。
書名 :ずるい考え方 ゼロから始めるラテラルシンキング入門
著者 :木村 尚義
出版月:2016/8/2
出版社:あさ出版
定価 :¥1,430 (税込)
著者である木村 尚義さんのプロフィールはコチラです。
株式会社創客営業研究所代表取締役。アカデミーヒルズ六本木ライブラリー個人事業研究会会長。流通経済大学卒業後、ソフトウェア開発会社を経てOAシステム販売会社に転職。その後、外資系IT教育会社にて、それまでの経験を生かした研修を展開。2万人以上の受講者から好評を得る。従来の発想の枠を越え、常識にとらわれないビジネススタイルを「創客営業」と名付け、全国にてセミナーを実施中。
-Amazon著者紹介情報より抜粋-
本書の言う”ずるい考え方”は「ラテラルシンキング」という思考法です。
ラテラルシンキング
- 常識にとらわれず、自由な発想をする考え方
- 最短ルートで問題を解決する考え方
- お金や時間をかけずに目的を達成してしまう考え方
- 「その手があったか⁉︎」
- 「してやられたっ!」
- 「ズルいッ!」
まわりの人が思わずそう言ってしまう考え方です。
『ずるい考え方』の要約【ラテラルシンキング入門】
それでは、『ずるい考え方』の内容を3つのパートに分けて要約していきます。
- ラテラルシンキングってどんな思考法?
- ラテラルシンキングに必要な3つの力
- ラテラルシンキングの発想パターン
順番に見ていきましょう。
要約①:ラテラルシンキングってどんな思考法?
1) ロジカルとラテラルは相互補完
一般的にラテラルシンキングとは、
- 「どんな前提条件にも支配されない自由な思考法」
- 「発想の枠を広げる思考法」
などと言い換えられますが、いまいちピンとこないですよね。
もう少し分かりやすくするため、”論理的思考法”でおなじみの「ロジカルシンキング」と比較してみましょう。
ロジカルシンキングは、A→B→Cという感じで物事を筋道立てつつ正解を導く考え方です。
これに対しラテラルシンキングは順番や過程を気にしません。
要するに、
- ロジカルシンキングで問われるのは「過程」
- ラテラルシンキングで問われるのは「結果」
ということです。
例えば13個のオレンジを3人の子供に公平に分けるには?という問題に、
- 4個ずつ分けて余った1個を3等分する
- 重さを測って3等分する
と考えるのがロジカルシンキングですが、ラテラルシンキングで考えると
- ジュースにして分ける
- オレンジの種を植え、実ってから3等分する
ラテラルシンキングができると以下のような効果があると著者は言います。
ラテラルシンキングの効果
- あらゆる前提から自由になる
- 今までにないものが生まれる
- 問題が最短ルートで解決される
- お金/時間/手間が節約できる
とはいえ、ラテラルシンキングとロジカルシンキングは決して対立する考え方でもなく、どちらかしか使えないということでもありません。
ラテラルシンキングでたくさんの選択肢を出しつつ、実現できるかをロジカルシンキングで検討すればいいのです。
2) なぜラテラルシンキングが必要なのか
そもそもなぜラテラルシンキングが必要なのでしょうか?
それは、社会がロジカルシンキングに支配されてるから。
オレンジをジュースにして分けるといった答えは、算数の問題では不正解になってしまいます。
著者はこれを「正解はひとつ症候群」と呼んでいます。
- ルール
- 固定観念
- 常識
「正解はひとつ症候群」をかたどる代表はこの3つ。
人間はそもそも楽しようとする生き物なので、ルールや固定観念はとても便利なのです。
ロジカルシンキング自体は必要な考えですが、ロジカル過ぎると以下のような症状が出ると著者は警告しています。
- 発想が貧しくなりアイデアの数が減る
- 当たり障りのない発想しか出ない
- 自分と異なる考えを否定する
要約②:ラテラルシンキングに必要な3つの力
ラテラルシンキングを身につけるには、次の3つの力が欠かせません。
- 疑う力 ー 固定観念を打ち破る ー
- 抽象化する力 - 物事の本質を見抜く -
- セレンディピティ - 偶然を見逃さない -
順番に見ていきましょう。
① 疑う力
固定観念は、私たちに”ありきたりな発想”しか浮かばせなくするためラテラルシンキングの天敵です。
固定観念を打ち破り自由な発想をするために必要なのは「あらゆることを疑ってみる」こと。
- それ本当に正しいの?
- なぜコレをやってるんだろう
このような「疑い」なくして、新しい発想は生まれません。
とはいえ、私たちは「当たり前」だと思ってることになかなか疑いの眼差しを向けられません。
そんな時に固定観念を打ち破る最強ワードが「なぜ?」「本当?」「今はね!」です。
また、自分と異なる国・世代・業種の人たちとの対話からも新鮮な考えが得られるはずです。
② 抽象化する力
抽象化とは、物事の「本質」や「機能」に注目し、別のもので代用できないかを考えることです。
なお、本質は「〇〇するもの」の〇〇にあたる部分です。
例えば鉛筆なら「書くもの」という本質がありますが、「書く」という行為を抽象化すると、鉛筆の代用品が次々に見つかります。
- 何をするものか?
- 他の用途はないか?
普段から、あらゆるものに対してこのように考える習慣をつけると、発想の引き出しが増えていくはずです。
本書では、発想力を鍛えるトレーニングとして、「身近なものの用途を30個出すこと」を推奨しています。
例えば、「新聞」の本質は何でしょうか?
- 情報を伝えるもの
- 広告を載せるもの
- 包むもの
- 敷くもの
- 型崩れを防ぐもの
- 着火時の火種
- 防寒具
- コピーライティングの見本
- etc
といった具合に用途をどんどん抽象化していくと、固定観念にとらわれない新たな発想につながるわけです。
③ セレンディピティ
聞いたことない言葉ですが、「偶然を偶然として無視せずに、何かに関連づける力」です。
古畑任三郎が、たまたま起こった偶然から犯人のトリックに気づくシーンなんかがソレですね。
例えば「ホカロン」は、菓子袋に入れる酸化防止剤の実験で使っていた鉄粉が発熱するという「偶然の失敗」から生まれた商品です。
偶然とは、特別なことではなく日常のありふれた出来事の中に潜んでいます。
偶然をスルーしないためには、日常を”当たり前”と考えるのではなく、感性のレーダーをあらゆる方向に張り巡らせることが重要です。
セレンディピティは常に驚き感動することで磨かれると著者は言います。
要約③:ラテラルシンキングの発想パターン
ではラテラルシンキングから生まれる発想のパターンを見ていきましょう。
本書には6つの発想パターンがありますが、その中から「個人的に刺さったもの3つ」を紹介します。
① 最小の力で最大の効果を出す
人間は基本的に努力が嫌いで、なるべく楽に物事を進めたい生き物です。
その考え方を徹底的に追求したのが「最小の力で最大の効果を出す」で、以下3つのパターンに分けられます。
- 他者の力を借りる
⇨「自分がやる」という固定観念を疑う - 作業を組み合わせる
⇨歩く動作+清掃作業=モップスリッパ - 「楽する権利」を手に入れる
⇨利益を得る「権利」をとって自分は汗を流さない
十二支の順番は”動物たちがお釈迦様に挨拶に来た順番”というのは有名な話ですが、ネズミが一番の理由はご存知ですか?
ネズミはずっと牛の背中に乗ったまま移動しつつ、ゴール手前で背から降りて1番になった、と言われています。
② 異質なもの同士を組み合わせる
あるものを全く別のものと結びつけて新しいものを創造する発想です。
例えばアイスクリームのコーンは、容器不足で困っていた店主が隣の店のお菓子を見て「容器も食べればいい!」と思いついたのがキッカケと言われています。
ホットドックは、茹でたソーセージが熱くて持てないのでパンに挟んだのがキッカケです。
異質なものを組み合わせる時には、前述した「抽象化する力」が大いに役立ちます。
ものの使い方に対する先入観から自由になったときにこそ、新たな価値が生まれるのです。
③ ムダなものを捨てない
一見ムダと思えるものも、実は必要なものかもしれない。
そういうアプローチです。
そもそもムダが生まれる原因は「目的」があるからです。
目的に合致しないものはムダと見なされるため、効率を重視するロジカルシンキングではムダは排除されます。
しかし、思考に縛りがないラテラルシンキングではムダは大歓迎です。
偶然を見逃さない「セレンディピティ」においても、ムダのストックがあって初めて発揮されます。
ムダを捨てなかった成功例が「雪」です。
かつて札幌市では、除雪して行き場のない大量の雪を広い場所に集めていましたが、市内の学生たちが捨てられた雪で雪像を造りました。
これがきっかけで始まったのが有名な「さっぽろ雪まつり」です。
厄介な存在だったはずの雪を「観光の目玉」に変えたのは、まさにラテラルシンキングの発想と言えます。
「ずるい考え方」の感想
感想①:これからの時代に必須の思考法
ラテラルシンキングは、あらゆる仕事がIT化されていくこれからの時代にこそ必須の思考法だと思います。
なぜなら、ロジカルな仕事はコンピューターが全部やってくれるから。
人間にしかできない発想力を磨くことは、われわれの存在意義を失わないための大きな武器になるはずです。
感想②:経営者でなくても使える思考法
本書で登場するラテラルシンキング事例はほぼ経営者の話でしたが、現場の問題解決や改善活動にも大いに使える思考法です。
- 要因の掘り下げはロジカルシンキング
- 対策の立案はラテラルシンキング
といった感じで、相互補完で使い分けるのが良さそうです。
感想③:アタマが柔らかくなる
本書の最終章には、ラテラルシンキングの演習問題が用意されています。
本書を読んで、自分のアタマがいかに硬くなっていたかを実感させられました。
いわゆる「老害」と言われる人たちは、大抵アタマが硬めじゃないでしょうか。
ラテラルシンキングを身につけることは、自分が老害化しないためにも一役買ってくれる気がします。
まとめ:常識や固定観念の呪縛から逃れよう
要点をまとめます。
- 「ずるい考え方」は、常識や先入観に支配されない自由な思考法
- 「なぜ?」「本当?」「今はね」で固定観念を打ち破る
- 本質に目を向けつつ、身近なものの用途を30個出す
- 日常のありふれた出来事にも重要な偶然が潜んでいる
ラテラルシンキングは、マジメな人たちから「ズルいっ!」とくやしがられるような発想を生み出します。
この記事で紹介したのは、そのほんの一部。
本書には、まだまだ多数のずるいエピソードや問題が盛りだくさんです。
常識や固定観念の呪縛から逃れたい方は、いちど本書を手にとってみることをオススメします。
マンガ版もあるのでよかったらどうぞ。
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今回は以上です。