


この記事で分かること
- 『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』の要約・感想が分かる
- お金持ちの方程式が分かる
- マイクロ法人をつくるメリットが分かる
- これからの働き方が分かる
- あわせて読みたいオススメ本3選が分かる

もくじ
『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』の基本情報【名著が文庫版に】
まずは『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』の基本情報について見ていきます。
書名 :新版 お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方 知的人生設計のすすめ
著者 :橘玲
出版月:2017/8/4
出版社:幻冬舎
定価 :¥715 (税込)
著者である橘玲さんのプロフィールはコチラです。
1959年生まれ。作家。早稲田大学第一文学部卒業。2002年、小説『マネーロンダリング』でデビュー。06年、小説『永遠の旅行者』が第19回山本周五郎賞候補作となる。他の著書に『タックスヘイヴン』『亜玖夢博士の経済入門』『亜玖夢博士のマインドサイエンス入門』『残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法』『(日本人)』『言ってはいけない』等がある。
-Amazon著者紹介情報より抜粋-
本書で繰り返し問うているのは、経済的な視点で見て、私たちが生きてるのはどういう社会なのか」ということ。
それを知ることではじめて”正しく”生きる方法がわかる、と著者は言います。
『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』の要約【マイクロ法人で節税】
それでは、『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』の内容を3つのパートに分けて要約していきます。
- お金持ちの方程式
- 黄金の羽根の拾い方
- これからの働き方
順番に見ていきましょう。
要約①:お金持ちの方程式
人類の歴史に貨幣が登場して以来、「金持ちになりたい」という夢はたった一行の方程式に凝縮されています。
お金持ちの方程式
資産形成=(収入-支出) + (資産×運用利回り)
この方程式から、お金持ちになるには次の3つの方法しかないことがわかります。
- 収入を増やす
- 支出を減らす
- 運用利回りを上げる
1) 収入を増やす
収入を増やす確実な方法は「働き手を増やすこと」です。
「専業主婦」なんて言葉はもはや死語とも言われていますが、世界一人件費の高い社会で専業主婦を養うのは究極の贅沢と言えます。
資産形成の最短距離は、収入を増やして純利益(収入-支出)を確実に積み上げることです。
年間100万円を積み立てるのが精一杯の家計でも、奥さんが働いて年300万円積み立てられれば10年後の資産には大きな差になります。
年3%の運用利回りで10年積み立てた場合の資産
年間積立額 | 10年後の資産 |
100万円 | 1,150万円 |
300万円 | 3,400万円 |
2) 支出を減らす
蓄財においては、
- 収入を増やすことよりも
- 支出を減らすことを
まずはオススメします。

日本の家計の場合、最大のコストは住居費です。
大抵の人は年収の20〜50%を住居費にあてていますが、これを改善できればキャッシュフローは劇的に改善します。
もうひとつは生命保険です。
ほとんどの人は生命保険を解約してしまっても問題ありません。
なぜなら、そもそも独身者には必要ないのと、日本の公的保険が超優秀だから。
資産形成の観点では、生命保険ほど効率の悪い金融商品はないので、利用は最低限にとどめましょう。
3) 運用利回りを上げる
株価の動きがランダムウォークであり、専門家の予測はアテにならないことを前提とすれば、意識すべきは投資のコストです。
「投資のコストに気づかない人は金持ちになれない」と著者は言います。
投資先が同じでも、「どこでどう買うか」で手数料が数倍かわってくるものです。
別に高い手数料を払ったからといって株価が上がるわけではありません。

基本的には、手数料の安いネット証券やネット銀行を使いましょう。
要約②:黄金の羽根の拾い方
1) サラリーマンは搾取されてる
本書では、サラリーマンは”国家に惜しみなく奪われる人々”という位置づけで描かれています。
なぜなら、日本のサラリーマンは「源泉徴収」というシステムによって問答無用で税金や社会保険料を取られるからです。
多くのサラリーマンが”手取り額”しか意識しないのは、自分が払った税金を知ったところでなす術がないからですね。
一般的に、サラリーマンの生涯収入は3億円と言われていますが、そのうちの1億円は税金と社会保険料に消えているのです。

2) 黄金の羽根とは
- 制度の歪みから構造的に発生する”幸運”であり、手に入れた者に大きな利益をもたらす -
本書のタイトルに使われている「黄金の羽根」はこのように定義されています。
歪んだ制度の下で生きることを余儀なくされている我々が合理的に人生を設計するには「合法的な範囲で、できるだけ税金を払わない」という視点が不可欠です。

社会にはルールがある。その上で生きて行かなきゃならない。
だがな、そのルールってやつは全て頭の良い奴が作ってる。
それはつまりどういうことか。
そのルールは全て頭の良い奴に都合のいいように作られてるってことだ。
逆に都合の悪い所はわからないように上手く隠してある。
だがルールに従う者の中でも賢い奴はそのルールを上手く利用する。
例えば税金・年金・保険・医療制度・給与システム。
みんな頭の良い奴がわざと分かり難くして、ろくに調べもしない頭の悪い奴らから多く採ろうという仕組みにしている。
つまり、お前らみたいに頭を使わず面倒臭がってばかりいる奴らは一生騙されて高い金払わされ続ける。
いいか!賢い奴は騙されずに得して勝つ。バカは騙されて損して負け続ける。これが今の世の中の仕組みだ!
騙されたくなかったら、損して負けたくなかったら、お前ら勉強しろ!
『ドラゴン桜』-三田紀房著より-
ルールを上手く利用するためにやるべきは、「個人」と「法人」というふたつの人格を使いこなすこと。
3) マイクロ法人で税金をコントロールする
自分の事業を持つことで、税制面で様々なメリットを受けられます。
代表的なのが、「生活費を法人の経費に計上できること」です。
極端に言ってしまえば、
- 税金を引かれた残額(手取り)で生活費を賄う会社員に対して
- 生活費を使った後の残りで税額が決まるのが法人
ということ。
もちろん、生活費の全額が経費になるわけではありませんが、
- 事務所として使ってる自宅の家賃
- 水道光熱費
- 通信費
- 事業に関連する書籍代
- 事業に関連する飲食や旅行代
- 車やパソコンの費用
などなど、それが事業に必要だと説明できれば経費にできます。

要約③:これからの働き方
1) 人的資産を最大化する
我々の最大の資産は人的資本(働く能力)です。
人的資本からの収益を増やすには2つの方法しかありません。
- 人的資本への投資によって運用利回りを上げる
- 人的資本の運用期間をできるだけ長くする
運用利回りは、スキルを磨くことで収入アップにつながります。
それよりも、もっと確実なのは②の方法。
長く働くほど労働市場から得られる富が大きくなるのは当然の話ですね。

現代の日本人は、
- 働くことは苦役だが
- 定年まで勤めあげれば
- 悠々自適な老後が待っている
という極めて人生観を持っていますが、これは会社員人生が40年(大卒から定年まで)と区切られていたからこそ成立したモデル。
2) 好きな仕事で生きる
日本のサラリーマンは会社に退職金という“人質”を取られていうようなもので、定年まで働かないと正当な報酬を全額受け取れないのが現実。
そう考えると、超高齢社会の人生設計は「好きな仕事をする」以外ありません。
- 自分だけのニッチを見つけ
- 「スペシャル(専門)」に特化し
- 人的資本を最大化しつつ
- 会社に依存せずに
- 市場から富を得る

『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』の感想
感想①:不合理なバイアスを知っておく
本書では「経済合理的に判断すること」が強く推奨されていますが、人間の脳はバイアスによって「不合理」な判断をしがちです。
そのためにも、「脳にはどんなバイアスが備わってるのかを知っておくこと」が重要だと思いました。
- 損失回避バイアス
⇨利益よりも損失の感情の方が強く感じる - アンカリング効果
⇨過去の数字を無意識に基準にしている - サンクコストバイアス
⇨投資額を回収したくて損切りできない - 保有効果
⇨手にしたものの価値を高く見積もる
などなど、こういったバイアスを知っておくだけでも、不合理を遠ざけられるはずです。
感想②:サラリーマン+個人事業主もアリ
最高税率の違いなどでマイクロ法人が税制面で有利なのは確かですが、法人の設立や維持にもお金はかかるため、相応の収益があってようやく旨みが出るメソッドだと思いました。

旨みのひとつである「経費計上」は、個人事業主でも可能な話です。
また、ホワイト企業ならサラリーマンであることもそこまでネガティブに捉えなくていいと思ってます。
- 会社のリソースをうまく利用できたり
- 個人ではできない規模の仕事ができたり
- 有給休暇が使えたり
- 福利厚生が充実していたり

「サラリーマン(ホワイト企業)+副業(個人事業主)」というスタイルから始めて、事業が伸びたらマイクロ法人を考えればいいんじゃないでしょうか。
とはいえ、社会保険料は今後もじわじわと値上げされそうなので、「サラリーマンは搾取される」という構造自体は確かだと思います。
『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』とあわせて読みたいオススメ本3選
①『バビロン大富豪の教え』(ジョージ・S・クレイソン)
100年以上読み継がれる名著(のマンガ版)です。
お金持ちとは、
- お金をたくさん持ってる人ではなく
- お金の増やし方を知ってる人である

ストーリー仕立てのマンガ版なので、子どもの教育にもオススメの1冊です。
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『バビロン大富豪の教え』を要約しつつ僕が実践してること5選を紹介
②『お金の大学』(両@リベ大学長)
「お金なくして自由なし!」
これが資本主義のリアルです。
経済的自由のベースとなる3つの力の養い方が図解でとても分かりやすく学ぶことができます。
- 貯める力・・支出を減らして貯蓄を増やす
- 稼ぐ力 ・・収入UPで蓄財ペースを上げる
- 増やす力・・投資に回して資産運用する
また、本書は社会保障や税制度の「仕組み」まで噛み砕いて解説してくれます。

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両学長『お金の大学』の要約/感想レビュー【一生モノのマネー教養】
③『みんなが欲しかった!FPの教科書3級』(滝澤ななみ)
「FP技能士3級」という資格勉強のテキストですが、税金や社会保険などの基本知識が体系的にまとめられているので、これ1冊でお金の教養が身に付きます。
資格を取る取らないに関係なく、日本で生活するなら読むべき1冊です。

所得税の算出方法などが理解できると「黄金の羽根」の旨みがより理解できるはずです。
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FP資格は意味ない?筆者が実感したメリット6つ【FP2級保持】
まとめ:お金持ちになるには「経済合理的」になれ!
まとめます。
- 資産形成=(収入-支出) + (資産×運用利回り)
- 生活費の経費計上で可処分所得を増やす
- 好きな仕事で人的資本を長く運用する
この記事で紹介できた内容はほんの一部の一部です。
本書では黄金の羽根の拾い方がかなり濃厚に解説されています。
本書のメソッドを「道徳的にどうなん?」と思う方もいるかもですが、次のことだけは確かだと著者は言います。
- 経済的に成功するためには、経済合理的でなくてはならない
- 国家は神聖なものでも、崇拝や愛情の対象でもなく、人生を最適設計するための道具だ
黄金の羽根を拾いたい方は、いちど本書を手にとってみることをオススメします。
今回は以上です。