この記事で分かること
- プロタゴラスの「相対主義」が分かる
- ソクラテスの「無知の知」が分かる
- デカルトの「我思う、ゆえに我あり」が分かる
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それでは見ていきましょう。
もくじ
『史上最強の哲学入門』の基本情報【哲学+刃牙】
まずは『史上最強の哲学入門』の基本情報について見ていきます。
書名 :史上最強の哲学入門
著者 :飲茶
出版月:2015/11/6
出版社:河出書房新社
定価 :¥814 (文庫版)
著者である飲茶さんのプロフィールはコチラです。
北国生まれ。東北大学大学院卒業。哲学や科学など、とっつきにくい学問を楽しくわかりやすく解説した本が大好評。元は普通のサラリーマンであったが、ある日、道を歩いているときに良いビジネスを思いつき、「そんなときどうする? 勝負だ、勝負するに決まってる!」と叫びながら、突然退社して起業。しかし、現実は甘くなく、現在、未曾有の不況に直面して苦戦中。著書に『哲学的な何か、あと科学とか』『哲学的な何か、あと数学とか』。著者ブログ:http://blog.yamcha.jp/ 熱烈なバキファン。
-Amazon著者情報より抜粋-
『史上最強の哲学入門』の要約【絶対的な真理とは?】
それでは、『史上最強の哲学入門』に登場する31人の哲人の中から、厳選して3選手のエピソードを紹介します。
- プロタゴラス(相対主義)
- ソクラテス(無知の知)
- デカルト(我思う、ゆえに我あり)
順番に見ていきましょう。
要約①:プロタゴラス(相対主義)
1) 昔は神話が絶対
紀元前の遠い昔、人間たちは身の回りで起こる意味不明なことは全て「神話」による説明で納得してきました。
例えば、「カミナリは山の神様が怒っている」と解釈する感じです。
いまの常識で考えると、バカなの?と思うかもですが、当時の科学で神話を疑うなんて無理な話。
そもそも先祖代々からそう伝えられてきてるため、神話の内容が皆の共通理解となっていました。
2) 神話って全部ウソじゃね??
時代が進み人々の活動範囲が広がると、今まで出会うことのなかった遠い国家の人とも交わるようになります。
すると、「それぞれの国で神話の内容が違う」という事実に直面するわけです。
そして、みんな次第に気づき始めます。
自分たちの中で「絶対に正しい」とされていた真理が失われ皆ガックリするのでした。
3) 人間は万物の尺度である
「神話」という絶対的な価値観が崩壊した時代において、”何が正しいかは人それぞれ”という「相対主義」を代表する哲学者がプロタゴラスでした。
プロタゴラスは「人間は万物の尺度である」と唱えます。
- 自分にとっては「冷たい水」でも
- 極寒の地では「温かい水」かもしれない
絶対的な「冷たい/温かい」を決めることなんてできない、という話です。
4) 相対主義は最高の論破テク
プロタゴラスの相対主義哲学は、公開討論をする政治家たちの間で大人気となります。
なぜなら、相対主義を使って基準をずらせば、
- ひどい主張も素晴らしい主張に
- 素晴らしい主張もひどい主張に
見せかけることができるから。
最強の論破テクとして重宝されたプロタゴラスの授業は人が殺到し、講義1回の報酬で軍艦が買えるほどまでつり上がったそうです。
要約②:ソクラテス(無知の知)
1) 人気取りに走る政治家
プロタゴラスの相対主義哲学を学んだ政治家たちは、見せかけだけの言葉を操って民衆の人気取りに走るようになります。
- 具体的なことを言って揚げ足を取られるよりも
- ふんわりしたそれっぽいことを言う
いつの間にか、そんな中身のない政治家ばかりになっていました。
2) ソクラテスによる質問攻め
そんな状況で現れたのが、「大きな馬にまとわりつくアブ」を自称するソクラテスです。
ソクラテスはバカのフリをして相手にどんどん質問します。
- いま正義って言ったけど、正義ってなんすか?
- 幸せってそもそも何なんすか?
相手が答えられなくなると、「知らないのに今まで語ってたんですね(笑)」と言ってバカにします。
そんなふうにソクラテスは偉い政治家たちを次々と論破していくのでした。
3) 無知の知
とはいえ、ソクラテスは「これが本当の正義だ!」などど自説を論じるわけではありません。
逆に「私は真理について何も知りません」と無知をさらけ出し、「だからみんなで考えよう!」と主張します。
ソクラテスは、とにかく真理が知りたかったわけです。
- 「知っている」と思っていたら「知りたい」と思わない
- 「知らない」と自覚するから「知りたい」と願う
- だからまずは自分が「知らない」ことを認める
4) 若者を堕落させた罪
「無知の知」によってソクラテスは一躍有名な哲学者として名を上げることになりますが、論破された政治家たちの恨みは残ったままです。
結局ソクラテスは「若者を堕落させた罪」で裁判にかけられ死刑宣告されてしまいます。
逃げる猶予もあったそうですが、最後まで真理を追究する姿勢はブレることなく、死を受け入れるのでした。
- 正しさなんて人それぞれっしょ!
- だから適当にやればいいんだよ!
そんな風潮にあった当時の若者たちは、「真理のためなら死をもいとわぬ生き方」に衝撃を受け、ソクラテスの遺志を受け継いでいくのでした。
要約③:デカルト(我思う、ゆえに我あり)
1) 哲学の「公理」を求めて
17世紀に入り、理性の力で絶対的な真理をつかもうと志す哲学者:デカルトが現れます。
デカルトは「x軸・y軸」を発明した数学者としても有名でした。
数学というのは、
- 絶対的に正しいとする基礎的な命題(公理)があって
- 公理の組み合わせから新しい命題(定理)を導く
そんな学問です。
デカルトは、この数学的やり方を哲学にも使えないだろうかと考えます。
2) 方法的懐疑
それまでの哲学は、それぞれの哲学者が自分勝手に主張してるだけなので、さまざまな「〇〇主義」や「〇〇説」が生まれ統一的な学問として成立していませんでした。
このままでは、「結局、哲学なんて人それぞれだよね・・。」となってしまう。
そこでデカルトは「誰もが正しいと認めざるを得ない絶対的なこと」を公理として設定し、そこから論理的に定理を導き出していく哲学体系を考えます。
公理を見つけるためにデカルトは、
- 目の前にリンゴが見えてるのも、実は夢かもしれない
- 数学や論理が正しいと思うのも、実は勘違いかもしれない
という感じで、あらゆるものを疑う戦略を取ります。
3) 我思う、ゆえに我あり
最終的にデカルトは、悪霊が幻想を見せているかもしれないという存在まで仮定し始めます。
もはや疑い過ぎです。
ですが、そこまで疑いまくっていたデカルトに、天啓のような考えがひらめきます。
我々の認識は、すべて嘘かもしれない。そして、あらゆるものを疑うことができてしまう。
でも、この世のすべてを疑えたとしても、それを『疑っている私』がいるということだけは『疑えない』のではないだろうか!
なぜなら、たとえ、その『疑っている私』の存在を疑ったとしても、やっぱり『疑っている私』がいることは真だからだ!
このデカルトのひらめきは、今日では「我思う、ゆえに我あり」という言葉で知られています。
こうしてデカルトは、哲学の基盤となる「絶対に疑えない真理」を導き出したのでした。
『史上最強の哲学入門』の感想【笑いあり、哲学あり、露出狂あり】
- 哲学ってそもそも何なんだろう?
- 哲学って役に立つの?
そんな方に強くオススメできる1冊です。
”とっつきづらい”という哲学のイメージが、「グラップラー刃牙」要素によって、すごく入りやすい入口になっています。
Amazonで試し読みできるので、ぜひ「まえがき」だけでも読んでほしいですね。
個人的にクスッときたのが、ちゃっかり「地下闘技場」が「地下討議場」になってるとこ。
とはいえ、刃牙に興味がない方でも十分に楽しめる内容だと思います。
なぜなら、コメディ要素もありつつ、肝である「哲学」についても分かりやすく解説してくれるから。
ちなみに、人民主権を主張したフランスの哲学者ルソーは、露出狂だったという情報もありました。
ケツを出して捕まった際には「こうすれば彼女たちにお尻を叩いてもらえると思って・・。」というクズな釈明をしてるそうです。
まとめ:哲人から「考えるヒント」をもらおう
まとめます。
- 相対主義
→絶対的な「冷たい/温かい」を決めることなんてできない - 無知の知
→自分が「知らない」ことを認めないと真理に辿り着けない - 我思う、ゆえに我あり
→『疑っている自分』がいることだけは『疑えない』
現代社会においては、「哲学は無意味」という考え方もあるかもしれません。
しかし、己のすべてを賭けて真理を追究する哲学者たちの生き様は、僕たちに「考えるヒント」を与えてくれるんじゃないでしょうか。
イカした、そしてイカれた哲学者たちの討議を楽しみたい方は、いちど本書を手にとってみることをオススメします。
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【聴く読書】Audible(オーディブル)ってどんなサービス?
今回は以上です。