この記事で分かること
- 『シン・ニホン』の要約・感想が分かる
- 日本の置かれた現状が分かる
- 日本再生への道筋が分かる
『シン・ニホン』はこんな方におすすめ
- 全ての日本人
- 若い世代ならなおさら
ちなみに本書のタイトル『シン・ニホン』は、2016年に大ヒットした映画『シン・ゴジラ』から来ています。
それでは見ていきましょう。
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もくじ
『シン・ニホン』の基本情報
まずは『シン・ニホン』の基本情報について見ていきます。
書名 :シン・ニホン AI×データ時代における日本の再生と人材育成
著者 :安宅 和人
出版月:2020/2/20
出版社:NewsPicksパブリッシング
定価 :¥2,640 (税込)
著者である安宅和人氏のプロフィールはコチラ。
慶應義塾大学 環境情報学部教授
ヤフー株式会社 CSO(チーフストラテジーオフィサー)
データサイエンティスト協会理事・スキル定義委員長。東京大学大学院生物化学専攻にて修士課程修了後、マッキンゼー入社。4年半の勤務後、イェール大学脳神経科学プログラムに入学。2001年春、学位取得(Ph.D.)。ポスドクを経て2001年末マッキンゼー復帰に伴い帰国。マーケティング研究グループのアジア太平洋地域中心メンバーの一人として幅広い商品・事業開発、ブランド再生に関わる。2008年よりヤフー。2012年7月よりCSO(現兼務)。全社横断的な戦略課題の解決、事業開発に加え、途中データ及び研究開発部門も統括。2016年春より慶應義塾大学SFCにてデータドリブン時代の基礎教養について教える。2018年9月より現職。内閣府 総合科学技術イノベーション会議(CSTI)基本計画専門調査会 委員、官民研究開発投資拡大プログラム (PRISM) AI技術領域 運営委員、数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度検討会 副座長なども務める。著書に『イシューからはじめよ』。
-Amazon著者ページより抜粋-
それでは本書の要約を見ていきましょう。
『シン・ニホン』の要約まとめ【時代はデータ×AI】
では本書の内容を僕なりに以下4つに分けて要約したいと思います。
- 日本は「データ×AI」の波に乗り遅れた
- 今の日本は黒船が来たときと同じ
- とはいえ日本はまた立ち上がれる
- 日本の再生に必要なのは...
ひとつずつ見ていきましょう。
要約①:日本は「データ×AI」の波に乗り遅れた
まずは現状の日本の状況をファクトベースで非常に詳しく述べていますが、要は「このままじゃ日本ヤバいよ!」というお話です。
なぜなら、資本主義ゲームのルールが
- 「モノづくり」の時代から
- 「データ×AI」の時代に変わった
にも関わらず日本はその波に完全に乗り遅れているということ。
世界の企業価値ランキングで上位にいるのはデータ×AIを活用している企業ばかりです。
分かりやすい例として自動車産業を見てみましょう。
売上・販売台数ではGM・トヨタの足元にも及ばないテスラですが、企業価値では引けを取りません。
現代は「未来を変えている感」がそのまま企業価値に繋がる時代ということ。
今でこそ日本は”先進国”に位置づけられてますが、このままではそう遠くない未来に”中進国”になってしまうと警告しています。
要約②:今の日本は黒船が来たときと同じ
そんな日本を著者は「黒船が来たときと同じ」という例えで表現しています。
黒船が来たときって??
日本人がちょんまげを結って腰に刀を挿しつつ鎖国していた間に、欧米は産業革命に入り巨大な船を造れるくらい文明が進んでいました。
それを目の当たりにしたのが「黒船来航」で、これをキッカケに日本は徳川幕府の時代に幕を閉じ、明治維新で急速な発展を遂げていくワケですね。
この時の日本は産業革命という大きなイノベーションの”フェーズ1”に乗り遅れたと述べています。
そもそも技術革新というのは基本的に3つのフェーズに分けられるそうです。
- 新技術が発見され利用され始めるフェーズ
- 新技術を実用的サービスに落とし込むフェーズ
- サービス同士が繋がりシステムとなるフェーズ
今の日本も幕末と同じでデータ×AIのフェーズ1に乗り遅れている、というワケですね。
- もう馬に乗って移動する時代じゃないよ
- 欧米ではもう蒸気機関車が走ってるんだよ
そういう状態です。
要約③:とはいえ日本はまた立ち上がれる
そんなこんなで「日本はオワコン」みたいな風潮が広がりつつある昨今ですが、著者は「逆に日本はこれからだ!」と主張します。
なぜでしょうか。
フェーズ1で完全に出遅れた日本ですが、そもそも日本はフェーズ2・3が強い国だからまだまだ巻き返せるというワケです。
実際に、産業革命のフェーズ1に乗り遅れた日本ですが明治維新以降の鬼の追い上げで一気にトップに立ってます。
大丈夫です。産業革命のほかにも
- 仏教だって1000年遅れで入ってきたのに今は一番進歩してるし
- 漢字も中国由来だけどソコからひらがなやカタカナを創り出してる
フェーズ2から伸びるのは日本のお家芸ということです。
むしろ「日本はそもそもフェーズ1をやったことがない」とまで言っています。
さらに、データ×AI時代のフェーズ2で強みになるのが日本人の”妄想力”だそうです。
日本のアニメやゲームのカルチャーは世界のトップを走ってると言われています。
- あんなこといいな
- できたらいいな
このマインドが日本人には子供のころから植え付けられている、という事。
つまり、日本人は妄想力の英才教育を受けているという頼もしいお話なのです。
要約④:日本の再生に必要なのは...
いま、データ×AIイノベーションはフェーズ1が終わるところなんだそうです。
と思いたいところですが、このままじゃフェーズ2も乗り遅れるよ!と警告しています。
逆転するためには、
- 予算配分の見直し
- 未来を変える人材育成
この2つの改革が必要不可欠だそうです。ひとつずつ見ていきましょう。
1) 予算配分の見直し
図は日本の国家予算の内訳です。
予算の大半が社会保障給付に使われていることが分かりますね。
この配分は、仮に日本がひとつの家族と考えたなら
- お爺さんとお婆さんはおかず付きのご飯を食べ
- お父さんとお母さんは少ししか小遣いがなく
- 子供たちにはメザシひとつ与えられていない
そんな予算配分なのだそうです。
まずは、ここから数兆円でいいから人材育成に配分するべきだと言っています。
2) 未来を変える人材育成
教育自体にも”未来を変える人材を育てる教育”へのシフトが要求されています。
本書では、これから求められる人材は「異人」だと言っています。
- みんなが目指す領域で一番になる事よりも
- 人がやってない領域で何かを仕掛ける事
そんな異人こそが”未来を変える人材”だということ。
『シン・ニホン』を読んだ感想【あきらめたらそこで試合終了】
続いて、『シン・ニホン』を読んだ僕の感想を紹介します。
- スラムダンクの山王戦を彷彿とさせられた
- 若い世代こそ選挙に行かなきゃ
- 日本人の国民性が表れている
- コロナ前から都市集中型の現状を懸念
ひとつずつ解説しますね。
感想①:スラムダンクの山王戦を彷彿とさせられた
最強の山王工業に20点差をつけられ誰もが負けた..と思っていた絶望的状況。
安西先生は桜木をベンチに下げこう言います。
『私だけかね…?まだ勝てると思ってるのは…』
桜木がオフェンスリバウンドを取れば4点分の働きになる。
『それが出来れば君が追い上げの切り札になる…』
本書を読んでいたら安宅先生が安西先生に思えてきました。
感想②:若い世代こそ選挙に行かなきゃ
資本主義のゲームが変わった以上、我々の考えも変える必要がある。
本書を読むとそのことが痛感できますが、新しい事に対して逆風を起こす人たちもいます。
本書では新しいことに逆風を送るおじさんを『ジャマおじ』と呼んでいましたw。
とはいえ、やはり一番の問題は若い世代が選挙に行かないことだと思ってます。
当たり前ですが、政治家は自分に投票してくれた人(老人?)のために政治をするもの。
という方がほとんどではないでしょうか。
僕もそうですが、大事なのは”若い世代も投票している”という事実。
そうしないといつまで経ってもジャマおじによる老人のための国づくりが変わりませんよね。
感想③:日本人の国民性が表れている
- 長い物には巻かれよ
- 郷にいては郷に従え
- 出る杭は打たれる
- 村八分
日本には”みんなと同じ”を良しとする風潮がありますよね。
その国民性が
- 0⇒1を作り出しにくい要素でもあり
- フェース2から強い要素でもある
個人的にはそんな風にも感じました。
感想④:コロナ前から都市集中型の現状を懸念
本書の一部を引用します。
至る所が限界集落となって古くから人が住んできた集落が捨てられつつある。世界のどの国も人口は爆増してきたのにだ。
これは世界中のあらゆる場所で人間が都市に向かっているという事だがこのままでいいのか。
このままでは映画「ブレードランナー」のように、人間は都市にしか住めなくなり郊外は全て捨てられてしまう、そんな未来を生み出すために僕らは頑張ってきたのか。
これが僕らが次の世代に残すべき未来なのか。今データ×AIやそれ以外にも数多くのこれまでは不可能だったことを可能にする技術が一気に花開いているがこれらはそもそも人間を開放するためにあるのではないのか。
テクノロジーの力を使い倒すことにより僕らはもっと自然と共に生きる美しい未来を創ることはできないのか。
その後、新型コロナウイルスにより東京がどうなったのかは言うまでもありません。
- テレワークをしたり
- zoomでミーティングしたり
- オンライン飲み会したり
- ネット通販したり
テクノロジーを使い倒せば都市に集中する必要もないワケですね。
まとめ:あきらめたらそこで試合終了ですよ...
ー 日本はアメリカに次ぐ先進国 -
そんな栄光はもはや過去のものだと、本書を読むと実感させられます。
山王工業に20点差以上つけられてるよ、という事実をこれでもかっ!と突きつけられ前半は気持ちが沈むことも確かです。
ですが大事なのは過去ではなく”これからどうするか”、奇しくもそれは『幸せになる勇気』で言われていたことでもあります。
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『この国はスクラップ&ビルドでのし上がってきた。今度も立ち直れる。』
映画『シン・ゴジラ』でゴジラに壊滅させられた日本に対して官房長官が言ったセリフです。
本書のタイトル『シン・ニホン』にはこのメッセージが込められているワケです。
¥2,640という少々高めの本ではありますが、安宅先生の「日本はまだいける!」という熱い思いが伝わってきてビジネス書なのに感動できる1冊でした。
本記事では書ききれないことがまだまだ沢山あります。新時代の教養として、日本再生の道筋をより詳しく知りたい方は本書を手に取ってみることをオススメします。
AmazonのオーディオブックAudibleの無料体験で聴くこともできるので、フルで楽しみたい方はどうぞ。
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今回は以上です。