


この記事で分かること
- 『エッセンシャル思考』の要約が分かる
- 重要なものを見極める技術が分かる
- 不要なものを捨てる技術が分かる
- やるべきことをしくみ化する技術が分かる
それでは見ていきましょう。
もくじ
『エッセンシャル思考』の基本情報【より少なく、しかしより良く】
まずは『エッセンシャル思考』の基本情報について見ていきます。
書名 :エッセンシャル思考 最少の時間で成果を最大にする
著者 :グレッグ マキューン
出版月:2014/11/19
出版社:かんき出版
定価 :¥1,760 (税込)
著者であるグレッグマキューン氏のプロフィールはコチラです。
シリコンバレーのコンサルティング会社THIS Inc.のCEO。
エッセンシャル思考の生き方とリーダーシップを広めるべく世界中で講演、執筆をおこない、アップル、グーグル、フェイスブック、ツイッター、リンクトイン、セールスフォース・ドットコム、シマンテックなどの有名企業にアドバイスを与えている。
ハーバード・ビジネス・レビューおよびリンクトイン・インフルエンサーの人気ブロガー。
スタンフォード大学でDesigning Life, Essentiallyクラスを開講。
本書および共著書『Multipliers: How the Best Leaders Make Everyone Smarter』は、ともに米国でベストセラー入りしている。
2012年には世界経済フォーラムにより「ヤング・グローバル・リーダーズ」に選出された。
-Amazon著者紹介情報より抜粋-
エッセンシャルとは、直訳すると「本質的・必須」といった意味の言葉です。
- 99%の無駄なことを捨てて
- 1%の重要なことに集中する
言うは易く行うは難しですが、どう行えばいいのかを分かりやすく教えてくれるのか本書です。
『エッセンシャル思考』の要約【最小の時間で最大の成果を】
それでは、『エッセンシャル思考』の内容を4つのパートに分けて解説していきます。
- エッセンシャル思考とは
- 重要なものを「見極める」技術
- 不要なものを「捨てる」技術
- やるべきことを「しくみ化する」技術
順番に見ていきましょう。
要約①:エッセンシャル思考とは
エッセンシャル思考とは、
- 大事なものを見極め
- それ以外をうまく捨て
- 最高の力を発揮する
そのための思考です。
エッセンシャル思考を身につける前提として、ものの見方を変える必要があります。
- やらなくては ⇒ やると決める
- どれも大事 ⇒ 大事なものは滅多にない
- 全部できる ⇒ 全部やる必要はない
ただし、やることを減らせばいいというものでもありません。
気をつけなきゃいけないのが「優秀な人=エッセンシャル思考」とは限らないということ。
むしろ、多くの仕事をこなせる優秀な人ほど「全部できる」と考えて非エッセンシャル思考に陥りがちだと著者は言います。
それを踏まえつつ、エッセンシャル思考の基礎となる3つの考え方を理解しておきましょう。
- 選ぶ
- ノイズ
- トレードオフ
1) 選ぶ
何も考えずに言われたことをやってるのは実にラクですが、選ぶことを忘れた人間は無力感にとらわれ自分の意思がなくなります。
本来、私たちは時間とエネルギーの使い道を選ぶことができる存在です。
エッセンシャル思考は選ぶ力を無駄にしません。
なぜなら、選ぶ権利を手放すことは他人に自分の人生を決めさせることだと知ってるからです。

2) ノイズ
非エッセンシャル思考の人は「大多数のものごとが重要」と考えますが、世の中の大半はものはノイズであり本当に重要なものはほとんどありません。
成果の80%は20%の努力に起因するといった意味の「パレートの法則(80:20の法則)」という言葉があります。
- 売上の8割は、2割の社員が出している
- 成果の8割は、2割の時間で出している
この考え方は広く世の中全般に応用できると言われており、エッセンシャル思考にも欠かせない要素です。

3) トレードオフ
何かを選ぶことは、何かを捨てること。
- コロナ感染を抑えるには
- 経済を犠牲にする必要がある
あらゆる物事を重要だと考える非エッセンシャル思考では、トレードオフが必要な場面で「どうすれば全部できるか?」と考えます。
どれにもイエスを言いたい気持ちは分かりますが、現実的にそれは不可能なのです。

要約②:重要なものを「見極める」技術
本当に重要なものは少数しかないため、正しく「見極める」技術が必要です。
そのために必要な要素は以下の通り。
- じっくり考える時間と余裕
- ちょっとした遊び心
- 十分な睡眠
- 厳密な選抜基準
1) じっくり考える時間と余裕
- 非エッセンシャル思考の人は考える時間がもてない
- エッセンシャル思考の人は考える余裕をつくり出す
少数の重要なことを正しく見分けるためには、誰にも邪魔されない状況でじっくり考える時間が不可欠です。
皆それぞれ
- 集中できる場所
- 集中できる時間
- 集中できる環境
があるはず。
集中は向こうからやってくるものではない。だから、集中できる状況に自ら飛び込んでいくことが必要なのだ。
2) ちょっとした遊び心
遊びは良くないという考えは大人になると強く刷り込まれますが、遊びは脳の柔軟性と順応性を高め創造的にしてくれます。
遊びほど、脳を奮い立たせる行動はないのです。
- 非エッセンシャル思考の人は遊びを無駄と考える
- エッセンシャル思考の人は遊びは不可欠と考える
賢い人はちょっとしたナンセンスを楽しむものだ。
3) 十分な睡眠
私たちの最大の資産は自分自身であるにも関わらず、優秀な人たちの多くがどんどん自分を壊してしまいます。
その原因が「睡眠不足」です。
活動的で向上心溢れる人にとっては、
- 自分を酷使することよりも
- 働きすぎないように制限する方が
よっぽど難しいということ。
とはいえ、十分な睡眠がパフォーマンスを高めることはあらゆる研究で明らかになっています。

- 非エッセンシャル思考の人は睡眠を「義務」と考え
- エッセンシャル思考の人は睡眠を「武器」と考える
4) 厳密な選抜基準
非エッセンシャル思考の人はいつも消極的な基準でものごとを選んでいます。
- 上司に言われたから
- みんながやってるから
- 昔からやってるから
これではいつまで経っても時間に追われる日々から逃れられません。
エッセンシャル思考の人は、最重要基準を評価し90点未満は容赦なく切り捨てます。
直感や感情の入り込む余地のない、合理的で論理的な選択ができるのです。

- 非エッセンシャル思考の人は何でもイエスと言い
- エッセンシャル思考の人は上位10%にだけイエスを言う
要約③:不要なものを「捨てる」技術
見極める技術で、「やること」と「やらないこと」の分類はできたかもしれませんが、難しいのは「やらないこと」をきっぱり捨てることです。
「やらないこと」を捨てる技術は大きく2種類あります。
- これまでやっていたことを「やめる」技術
- 頼まれたことに「ノーを言う」技術
1) これまでやっていたことを「やめる」技術
やめることを妨げる要因のひとつに、誰しもが心に備わっている心理的バイアスが大きく影響しています。
- サンクコストバイアス
⇒もうお金を払ったからやめられない - 授かり効果
⇒所有しているものは失いたくない - 現状維持バイアス
⇒いつもやってることはやめにくい
まずは、こういったバイアスがかかってると認識するだけでもブレーキがかかりにくくなるはずです。
これに加えて、「ゼロベースで考える」という方法がオススメです。
- もしこれをやってなかったら、と仮定して
- 今からお金や時間を使ってやるだろうか?

2) 頼まれたことに「ノーを言う」技術
他人のプレッシャーに負けずキッパリと断るのはエッセンシャル思考の必須スキルです。
それと同時に、「最も難しいスキルでもある」と著者は言います。
まずは「断ること=悪いこと」という思い込みを捨てましょう。
ノーを言うことは、「自分の時間を安売りしない」というメッセージでもあります。
短期的には相手と気まずくなるかもしれませんが、長期的には相手の敬意を得られるのです。
エッセンシャル思考の生き方はノーを言い続ける生活です。
本書で紹介されていた断り方の例をいくつかピックアップしますね。
- とりあえず黙る
⇒3つ数えてから自分の意見を言う - 代替案を出す
⇒相手の歩み寄りつつ断れる - 予定を確認して折り返す
⇒いったん時間を置くと断りやすい - 自動返信メール
⇒休暇中に限らず使える - どの仕事を後回しにしますか?
⇒トレードオフを意識させる - 別の人を紹介する
⇒自分じゃなくてもいいことがほとんど
エッセンシャル思考の人は「やるべきこと」がハッキリしているから、「これは自分の仕事ではない」と言えるのです。

要約④:やるべきことを「しくみ化する」技術
何かをやり遂げるために必要なのは、意思や根性などではなく、すんなり実現できるよう「しくみ化」することです。
やるべきことを決めたら、それを無意識に実行できるようにしておきましょう。
なぜなら、人はラクをしようとする生き物だから。
無意識になり余計なエネルギーを使わなければ、じっくり計画を立てつつ事前に障害を取り除くことが可能です。
しくみ化に役立つ技術をいくつか紹介します。
- 最悪の事態を想定する
⇒見積もりは1.5倍で考える - ボトルネックを探す
⇒本当の障害を取り除く - 小さな前進を積み重ねる
⇒それが後に大きな成果となる - 習慣化する
⇒本質的な行動を無意識化する - 「今、何が重要か」を考える
⇒過去と未来にとらわれない - エッセンシャル思考を生きる
⇒自分の中心をエッセンシャル思考にする
個人的に最重要だと思うのが「習慣化」です。
非エッセンシャル思考の人は火事場の馬鹿力を期待しますが、エッセンシャル思考の人は正しい習慣で自然に力を出します。

習慣化するには「トリガーをつくること」が有効です。
例えば、読書を習慣にしたいなら「歯磨き中は読書をする」といった感じで”毎日やること”と紐づけると継続しやすくなります。
※習慣化については別の本も紹介しているのでよかったらどうぞ。
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『習慣が10割』の要約まとめ【「継続」で人生を変える最強スキル】
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『ぼくたちは習慣で、できている』要約・感想まとめ【継続は力なり】
『エッセンシャル思考』の感想【ノーを言える地盤をつくらないと危険】
僕はもともと「無駄なことに時間とエネルギーを使いたくない」というタイプのため、本書の内容は共感できる点ばかりですんなり受け入れられる内容でした。
「選ぶ」「ノイズ」「トレードオフ」の考えは既に持っていたかもしれません。
とはいえ、やはり一番難しいのは「ノー」を言うこと。若い世代には特にハードルが高いはずです。
そのためにも
- ノーを言えるくらい自分に自信を持てるようにする
- ノーを言っても許される信頼関係や実績をつくっておく
という風に、ノーを言える地盤を固めておかないと危険だなと思いました。
また、現代は「スマホ」が自分の時間をどんどん奪おうとします。
時間泥棒の対策には『時間術大全』という本が参考になるのでよかったらどうぞ。
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『時間術大全』の要約・感想まとめ【無限の泉を遠ざけろ!】
まとめ:最小の時間で最大の成果を
今回は、グレッグ・マキューン氏の著書『エッセンシャル思考』の要約・感想をまとめました。
最後に、要点を振り返って終わりにします。
エッセンシャル思考の基礎
- 選ぶ
⇒私たちは時間とエネルギーの使い道を選ぶことができる - ノイズ
⇒本当に重要なものはほとんどない - トレードオフ
⇒何かを選ぶことは、何かを捨てること。
重要なものを「見極める」技術
- じっくり考える時間と余裕
⇒集中は向こうからやってこない - ちょっとした遊び心
⇒遊びほど、脳を奮い立たせる行動はない - 十分な睡眠
⇒十分な睡眠がパフォーマンスを高める - 厳密な選抜基準
⇒最重要基準を評価し90点未満は切り捨てる
不要なものを「捨てる」技術
- これまでやっていたことを「やめる」
⇒心理的バイアスを意識しつつゼロベースで考える - 頼まれたことに「ノーを言う」
⇒断ることは悪いことではない
やるべきことを「しくみ化する」技術
- 最悪の事態を想定する
⇒見積もりは1.5倍で考える - ボトルネックを探す
⇒本当の障害を取り除く - 小さな前進を積み重ねる
⇒それが後に大きな成果となる - 習慣化する
⇒本質的な行動を無意識化する - 「今、何が重要か」を考える
⇒過去と未来にとらわれない - エッセンシャル思考を生きる
⇒自分の中心をエッセンシャル思考にする

Amazon書籍紹介ページより引用
エッセンシャル思考を読むべき人
- 仕事を断るのが苦手な人
- 睡眠時間を削ってまで働く人
- 自分がやらなきゃと考えがちな人
- 忙しいことを良しと考えている人
- 優秀な人にも、意外と非エッセンシャル思考の人は多い -
これがエッセンシャル思考の面白いところでもあり、危険なところでもあるとうな気がします。
最小の時間で成果を最大にしたい方は、いちど本書を手に取ってみることをオススメします。
※ストーリー仕立てで読みやすいマンガ版もあるのでよかったらどうぞ。
今回は以上です。