


この記事で分かること
- 『科学的な適職』の要約が分かる
- 仕事選びにおける7つの大罪が分かる
- 仕事の満足度を高める7つの徳目が分かる
- 最悪の職場に共通する3つの悪が分かる
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それでは見ていきましょう。
もくじ
『科学的な適職』の基本情報【最高の職業の選び方】
まずは『科学的な適職』の基本情報について見ていきます。
書名 :科学的な適職
著者 :鈴木 祐
出版月:2019/12/13
出版社:クロスメディア・パブリッシング
定価 :¥1628 (税込)
著者である鈴木祐氏のプロフィールはコチラです。
新進気鋭のサイエンスライター。1976年生まれ、慶應義塾大学SFC卒業後、出版社勤務を経て独立。10万本の科学論文の読破と600人を超える海外の学者や専門医へのインタビューを重ねながら、現在はヘルスケアや生産性向上をテーマとした書籍や雑誌の執筆を手がける。自身のブログ「パレオな男」で心理、健康、科学に関する最新の知見を紹介し続け、月間250万PVを達成。近年はヘルスケア企業などを中心に、科学的なエビデンスの見分け方などを伝える講演なども行っている。著書に『最高の体調』(クロスメディア・パブリッシング)、『ヤバい集中力』(SBクリエイティブ)他多数。
-Amazon著者紹介情報より抜粋-
世の中には様々なキャリアアドバイスがありますが、それらの大半は個人の成功体験や嗜好に基づいて語られがちです。
ある程度の参考にはなるかもしれませんが、万人に当てはまることはまずありません。
ですが、キャリア選択の研究が進んだ現代では、「ある程度まで定量的な答えが出ている」と著者は言います。

『科学的な適職』の要約【「好き」と「幸福」は別】
それでは、『科学的な適職』の内容を3つのパートに分けて要約していきます。
- 仕事選びにおける7つの大罪
- 仕事の満足度を高める7つの徳目
- 最悪の職場に共通する3つの悪
順番に見ていきましょう。
要約①:仕事選びにおける7つの大罪
幸福を最大化してくれる仕事を探すためにも、まず行うべきは仕事選びで誰もがハマりがちな定番のミスを知っておくことです。
- 好きを仕事にする
- 給料の多さで選ぶ
- 業界や職種で選ぶ
- 仕事の楽さで選ぶ
- 性格テストで選ぶ
- 直感で選ぶ
- 適性に合った仕事を求める
これらは人生の満足度を上げてくれると捉えがちですが、なんの関係もないというのが多くの研究で明らかになっています。

ひとつずつ深堀りします。
大罪①:好きを仕事にする
オックスフォード大学の研究では「好きを仕事にした人ほど長続きしない」という結論が出ています。
好きを仕事にした場合、最初は喜びを感じるかもしれませんが、そこまで甘くないのが現実。
- 上司とソリが合わなかったり
- 残業が多かったり
- 顧客のクレーム処理したり
こうした面倒ごとに直面するうちに「この仕事そんなに好きじゃないのかも・・。」と疑念に取りつかれ、モチベーションが大きく上下するようになります。
この研究では、「仕事は仕事と割り切るタイプ」が上達も早く、仕事を辞めない傾向が見られたそうです。
大罪②:給料の多さで選ぶ
20代の頃より10倍金持ちになった60代を見つけるのは簡単だが、そのうち誰もが10倍幸せになったとは言わない。
収入が幸福度に全く影響しないわけではありませんが、そこまでコスパよくないというのが著者の結論です。
簡単に言うと、収入アップによる幸福度UPは1年しか続きません。

給料の多さよりも、
- 家族仲が良かったり
- 健康で体調が良かったり
といった日常生活から得られる幸福感の方が圧倒的に大きいのです。
大罪③:業界や職種で選ぶ
「これからは〇〇が伸びる」といった業界の未来予測はよく耳にしますが、これらの予想は基本的にアテになりません。
どれだけ知名度のある専門家でも、予想精度はコイン投げとたいして変わらないという研究結果が出ています。
そもそも、人は自分自身の変化すら予想できない生き物です。
- 若い頃に彫ったタトゥーを成人後に消したくなったり
- 生涯の愛を誓った相手とあっさり離婚したり
結局、いま特定の業種や職種を選んでも数年後に後悔している可能性は十分あるわけです。
大罪④:仕事の楽さで選ぶ
キツい仕事をしたい人はまずいないとは思いますが、「楽すぎる仕事」もまた人の幸福度を下げてしまいます。
例えば、敵がザコばっかりのドラクエをしてたら逆に苦痛になるはずです。

大罪⑤:性格テストで選ぶ
就職サイトなどに登録すると多くのユーザーが性格診断を実施しますが、これによって適職が見つかる保証はどこにもありません。
なぜなら、主観的な解釈が強いため結果をいかようにもできるからです。
また、同じ人でも別日に再度テストをすると全然違う結果になることもよくあります。

大罪⑥:直感で選ぶ
直感の正確性を示すデータがあるのは確かですが、それらには以下の共通点があります。
- ルールが厳格に決まっている
- 何度も練習するチャンスがある
- フィードバックがすぐに得られる
しかし、仕事探しにはこの条件が全く当てはまりません。
論理的に考える人の方が人生の満足度が高くストレスは低いことが確認されています。
大罪⑦:適性に合った仕事を求める
面接やIQテストなどによる適性検査もアテになりません。
なぜなら、パフォーマンスを左右する変数が多すぎるから。
現実において、仕事に求められる能力は多岐に渡ってるため、全てをテストで判断するのは不可能なのです。
要約②:仕事の満足度を決める7つの徳目
では、仕事人生に幸せをもたらす要素は何なんでしょうか。
著者は様々なメタ分析から次の7つを導き出しています。
- 自由:その仕事に裁量権はあるか?
- 達成:前に進んでいる感覚は得られるか?
- 焦点:自分のモチベーションタイプに合ってるか?
- 明確:ビジョンや評価軸はハッキリしてるか?
- 多様:仕事の内容にバリエーションはあるか?
- 仲間:組織内に助けてくれる友人はいるか?
- 貢献:どれだけ世の中の役に立つか?
1) 自由:その仕事に裁量権はあるか?
数ある研究の中でも「自由」ほど幸せを左右する要素はありません。

とはいえ、無制限に自由な組織など存在するはずありません。
研究によると、優先したい自由には男女差が表れるそうです。
- 女性:仕事する場所とタイミングが自由なほど幸福度が高い
- 男性:仕事の進め方とペースが自由なほど幸福度が高い
2) 達成:前に進んでいる感覚は得られるか?
仕事のモチベーションが最も上がるのは、少しでも前進していることです。
ドラクエもちょっとずつレベルが上がるからやる気が出るんです。
とはいえ、世の中の職場に「小さな達成感」の重要性が浸透するにはまだ時間が必要です。
その点を踏まえて、適職探しでチェックしたいポイントは以下2つ。
- 仕事のフィードバックはどのように得られるか
- 仕事の成果とフィードバックが切り離されていないか
3) 焦点:自分のモチベーションタイプに合ってるか?
性格テストはアテにならないと書いたばかりですが、唯一アテになるのが「制御焦点」と言われるテストで、人間のパーソナリティを「攻撃型」と「防御型」に区別する考え方です。
制御焦点
- 攻撃型:目標を達成して得られる「利益」に焦点を当てるタイプ
- 防御型:目標を責任の一種として捉え、競争に負けないために働くタイプ
たいていの人はどちらかの焦点をより強く持ち、その強弱によって仕事へのモチベーションが変化します。

焦点による適職の選び方はざっくりこんな感じです。
- 攻撃型:進歩や成長を実感しやすい仕事
⇨コンサルタント、アーティスト、テクノロジー系など - 防御型:安心感や安定感を実感しやすい仕事
⇨事務員、技術者、弁護士、経理系など
4) 明確:ビジョンや評価軸はハッキリしてるか?
明確さが必要なのは、「信賞必罰」と「タスク」の2つです。
信賞必罰とは、「功績あればこれを賞し、過ちあればこれを罰する」という意味です。

信賞必罰が明確でない会社は、「賃金の不公平感」などを感じやすくなります。
もうひとつ大事なのが「タスクの明確さ」です。
タスクが不明確だと、組織における自分の役割がわからなかったり、上司の指示が一貫しなかったりで幸福感を大きく下げられます。
5) 多様:仕事の内容にバリエーションはあるか?
人間はどんな変化にも「慣れる」性質があるため、ひとつのことをずっと続けるのはストレスになります。
そこで、「日々の仕事でどれぐらい変化を感じれるか」という多様性が求められます。
- 自分のスキルや能力を幅広く活かせる
- 業務の内容がバラエティに富んでいる
という職場ほど幸福度は高くなります。
6) 仲間:組織内に助けてくれる友人はいるか?
アメリカの研究では、職場に友達が3人以上いると人生の幸福度が96%もアップする結果が出ています。
どんなに好きな仕事でも、パワハラ上司やウマが合わない同僚と毎日8時間も一緒にいて幸福なはずありませんよね。
適職選びでは、「自分に似た人がどれくらいいそうか?」という視点が良さそうです。
なぜなら、人の仲を結びつける要素で最も確かなのは「人は自分に似た人を好きになりやすい」という事実だからです。
考え方でも性格でもファッションでも自分と似てさえいれば好感度は高まります。
7) 貢献:どれだけ世の中の役に立つか?
「世の中の役に立つ仕事」というとキレイごとのようですが、他者への貢献によって人間の持つ3つの欲求が満たされるのです。
- 自尊心:「自分は有能な人間なのだ」という感覚が生まれる
- 親密感:親切により他人と近くなった気分になる
- 自律性:「自分で自分の幸せを選択できた」という気持ちにつながる
また、社会に貢献した直後はドーパミンがあふれ出すことがわかっており、一部の学者はこの状態を「ヘルパーズ・ハイ」と呼んでいるそうです。
要約③:最悪の職場に共通する3つの悪
続いて、「こんな職場はやめとけ」というネガティブな要素を見ていきましょう。
1) ワークライフバランスの崩壊
プライベートに仕事を持ち込む働き方は、受動喫煙よりもはるかに健康ダメージが大きいと言われています。
さらに恐ろしいのが、プライベートで仕事のことを「考えただけ」でも幸福度は激減するそうです。
仕事のことを全く考えないのも無理かもしれませんが、少なくとも
- 休日に普通に上司から連絡がくる会社
- 休暇中の仕事が当たり前の文化がある会社
などは避けた方がよさそうですね。
2) 雇用が不安定
近年は「個人の時代」とも言われ、企業に雇用されずにプロジェクトごとに仕事を請け負う「ギグエコノミー」という働き方も広まりつつあります。
時間や場所を選ばない「自由な働き方」として憧れる人は少なくないものの、「長期的には心身の健康を崩しやすい」というのが事実です。
理由は簡単で、不安定さゆえの「不安」が長く続くほどストレスが蓄積していくからに他なりません。

3) 長時間労働
働きすぎが体に悪いのはもはや常識です。
具体的な数字で表すと以下の通り。
- 週40h超えあたりから体が壊れはじめ
- 週55h超で確実に心身の崩壊に向かいはじめる
週55h以上働くと
- 脳卒中のリスクが33%増加
- 心疾患のリスクが13%増加
- 糖尿病のリスクが30%増加
一般的には80時間の残業が「過労死ライン」と呼ばれていますが、科学的なラインはもっと低いのです。
『科学的な適職』の感想
感想①:説得力がハンパない
前作の「最高の体調」も読ませてもらいましたが、鈴木拓さんの著書は全ての主張が
- 「著者の経験則」からくる個人の主観ではなく
- 「膨大な研究論文」から導き出された答え
なので、読んでいて説得力がハンパないです。

感想②:仕事選びの価値観がアップデートされた
要約①で書いた「仕事選びにおける7つの大罪」はどれも”ナルホド!”と思える内容ばかりでした。
- 好きを仕事にする
- 給料の多さで選ぶ
- 仕事の楽さで選ぶ
特にこの辺りは誰もが仕事選びの基準にしていたんじゃないでしょうか。
総じて言える”気づき”は、自分が好きだったり楽な仕事が必ずしも「幸福」につながるわけではないということ。
感想③:ドラクエにハマる理由
適職選びと全く関係ありませんが、ドラクエがどうしてあんなに楽しめるのか少しわかった気がしました。
それは、ドラクエが「仕事の満足度を決める7つの徳目」をすべて満たしているということ。
- 自由:その仕事に裁量権はあるか?
⇒「めいれいさせろ」ならすべて自分次第 - 達成:前に進んでいる感覚は得られるか?
⇒経験値を積み上げれば着実にレベルが上がる - 焦点:自分のモチベーションタイプに合ってるか?
⇒ボスを倒すと正当な利益(経験値やアイテム)がある - 明確:ビジョンや評価軸はハッキリしてるか?
⇒倒すべき敵や目的はいつも明確 - 多様:仕事の内容にバリエーションはあるか?
⇒カジノや小さなメダルを集める要素もある - 仲間:組織内に助けてくれる友人はいるか?
⇒たいてい4人パーティー - 貢献:どれだけ世の中の役に立つか?
⇒世界を救うレベル

『科学的な適職』とあわせて読みたいオススメ本3選
① 『最高の体調』 (鈴木祐)
『科学的な適職』と同じ鈴木祐さんの著書です。
現代人が抱える体の悩みの「共通項」をあぶり出し、総合的なアプローチを取ります。
科学的根拠に基づく説得力満載の1冊です。
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鈴木祐『最高の体調』の要約【人類は幸せになるように進化してない】
②『「やりたいこと」の見つけ方』(八木 仁平)
適職選びのヒントとして、こちらもオススメしたい1冊。
本当にやりたいことは『好きなこと×得意なこと×大事なこと』という自己理解メソッドで見つけることができる、というお話です。
「やりたいこと」が見つかると、成長の無限ループに入れると著者は述べています。
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『「やりたいこと」の見つけ方』の要約まとめ【自己理解のライザップ】
③ 『職場の問題地図』(沢渡あまね)3532
- 属人化
- ムダな会議
- 報連相の欠如
などなど、多くの職場にありがちな問題とその解決策を分かりやすくコミカルに解説してくれる1冊です。
適職を見つけて転職するのもいいかもしれませんが、今の職場を改善するのも大事ですよね。
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『職場の問題地図』の要約・感想まとめ【ホントの働き方改革】
まとめ:人事を尽くして天命を待つ
まとめます。
仕事選びにおける7つの大罪
- 好きを仕事にする
⇨「仕事は仕事」と割り切った方がいい - 給料の多さで選ぶ
⇨収入による幸福度UPは1年だけ - 業界や職種で選ぶ
⇨未来予測はアテにならない - 仕事の楽さで選ぶ
⇨適度なストレスは必要 - 性格テストで選ぶ
⇨結果をなんとでも解釈できる - 直感で選ぶ
⇨論理的に考えたほうがうまくいく - 適性に合った仕事を求める
⇨変数が多すぎるためアテにならない
仕事の満足度を高める7つの徳目
- 自由:その仕事に裁量権はあるか?
- 達成:前に進んでいる感覚は得られるか?
- 焦点:自分のモチベーションタイプに合ってるか?
- 明確:ビジョンや評価軸はハッキリしてるか?
- 多様:仕事の内容にバリエーションはあるか?
- 仲間:組織内に助けてくれる友人はいるか?
- 貢献:どれだけ世の中の役に立つか?
最悪の職場に共通する3つの悪
- ワークライフバランスの崩壊
⇨仕事のことを「考えただけ」でも幸福度減 - 雇用が不安定
⇨長期的な不安はストレスが大きい - 長時間労働
⇨週55時間以上働くと心身は崩壊へ
本書の手法を実践すれば適職を選べる可能性は跳ね上がり、人生の幸福度も高まるはず。
とはいえ、適職選びに絶対の正解はなく、どんなに優れた意思決定ツールを使っても必ず失敗や挫折は訪れます。
現時点で最も役に立つのは「キャリア・ドリフト」という考え方です。
キャリア・ドリフト
- 人生は事前の計画通りに進むことは少ない
- そのため自分のキャリアは大きな方向性だけを定めた方が良い
- あとは予期せぬ出来事に柔軟に対処しつつキャリアを積めばいい

幸福度を最大化する仕事を見つけたい方は、いちど本書を手にとってみることをオススメします。
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今回は以上です。