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渋沢栄一『現代語訳:論語と算盤』第6章「人格と修養」の要約まとめ

渋沢栄一『現代語訳:論語と算盤』第6章「人格と修養」の要約まとめ

 

日本実業界の父・渋沢栄一の著書『論語と算盤』の要約を、各章ごとにシリーズでお送りしております。

 

今回は、第6章「人格と修養」です。

 

各章に順序性はないためどこから読んでも大丈夫ですが、前章をまだ読んでない方は上のリンクから各記事へジャンプできるのでよかったらどうぞ。

 

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【論語と算盤】第6章「人格と修養」の要約

 

第6章のメニューは以下の通りです。

  1. 人格の基準とは何か
  2. 二宮尊徳と西郷隆盛
  3. 自分を磨くのは、理屈ではない
  4. 自分を磨くことに対しての誤解に反論する
  5. 実際に効果のある人格の養成法

 

では順番に見ていきましょう。

 

①人格の基準とは何か

人間はもっとも進化した生き物と考えると人と人との間にはあまり差がないように思えるが、実際のところ人の優劣の差は大きいものです。

 

そもそも人と動物の違いは何なのでしょうか?

昔ヨーロッパの国王が二人の赤ん坊を1室に収容し、何の言葉も聞かせず何の教育も与えず育てたら動物のような鳴き声しか発さない大人になったそうです。

つまりは、見た目が人間だからと言って人間とは断定できないという事です。

 

人が動物と異なるのは見た目ではなく、

  • 道徳を身につけ
  • 知恵を磨き
  • 世の中のためになる貢献ができる

という点にあるワケです。

 

では人の真価は何を基準に見極めればいいのでしょうか?

多くの人は、富や地位といった即物的な面から判断しがちですが、あれだけの徳を誇った孔子も戦国時代に一つの小国すら手に入れられていません。

人の真価は、富や地位といった”結果”は二の次で、その人が社会のために尽くそうとした”精神や効果”で判断すべきなのです

 

現代でも、肩書だけで判断してしまうことってありますよね。。

 

②二宮尊徳と西郷隆盛

どんなに地位が高くても、知らない事は知らないと素直に言うべきです

 

本書では、西郷隆盛とのこんなエピソードが紹介されています。

廃藩置県などの政策で中央集権化を進めていた明治政府ですが、ある日西郷隆盛が渋沢を訪ねてこう頼みます。

「相馬藩の”興国案民法”という財政方針だけは例外として続けさせてほしい」

興国安民法とは、二宮尊徳先生の考えた相馬藩繁栄の基盤となる財政や産業についての方針です。

興国安民法が廃止されると相馬藩は立ち行かなくなると、相馬藩が西郷隆盛に訴えたそうです。

とはいえ、西郷も渋沢も日本国全体の事を考えなくてはいけない立場なので、ひとつの藩の都合を汲み取っていては中央集権化は実現できません。

結果的に興国安民法は廃止となりますが、その時に渋沢は西郷に興国安民法の内容を知っているか尋ねたら「知らない」と言ったそうです。

 

「参議」という政府の中でも最も高い地位にいる人間にも関わらず、

  • 知らないことは知らないと素直に言ったり
  • 下っ端からの反対意見も黙って受け入れたり

そんな西郷隆盛の人間性に渋沢は感心したのでした。

 

③自分を磨くのは、理屈ではない

「修養」とは徳や知識を磨き人格を高めることですが、これには限りがありません。

ここで気を付けなければいけないのが、学問ばかり磨いて頭でっかちになることです。

渋沢は、「現実と学問の調和」が重要だと言っています。

  • 現実を知ってるだけじゃもちろん不十分だし
  • 学問の理論だけ持っていても社会で通用しない

それは、国にも人にも言える事なのです。

徳川幕府が300年続いたのも家康が現実と理論を調和して融合させた結果であり、幕末に元気がなくなったのもこの調和が失われた結果でないかと言われています。

 

そして、今の日本はまだまだ十分に調和しているとは言えません。

現代において自分を磨くことは、現実の中での努力と勤勉によって知恵や道徳を完璧にすることであり、それは自分一人のためではなく国家の興隆に貢献するものでなくてはいけません

 

④自分を磨くことに対しての誤解に反論する

自分を磨くことに対して、「自分らしさを傷つける」とか「心がいじけてしまう」といった意見が出ますが、それは全く違うと渋沢は反論します。

 

自分を磨くというのは、自分の心を耕し成長させることです

もし自分を磨いたことで自分らしさが損なわれるなら、理想の人物は人が成長しきった姿ではないことになります。

だとしたら、それは間違った自分磨きです。

 

また、「心がいじけてしまう」というのは、礼儀や敬意といった基本的な道徳を無視した愚かな考えと言わざるを得ません。

 

⑤実際に効果のある人格の養成法

現代の青年に必要なのは人格を磨くことです。

なぜなら、現代の思想界は混乱状態で国民が何を信じてよいのか分からなくなり利己主義(自分さえよければよいという考え)に走っているからです。

もし道徳の規範が確立されれば、人格は自ずと磨かれ社会のことを考えるようになり、利己主義はなくなるでしょう。

 

渋沢おすすめの道徳は孔子のとなえた「忠信孝弟」の考えです。

  • 忠 ・・・良心的であること
  • 信 ・・・信頼されること
  • 孝弟・・・親や年長者を敬うこと

この「忠信孝弟」を基本に据えたら、さらに進んで知恵や能力を発展させましょう。

知恵や能力を正しく身につけているからこそ、物事の良し悪しが判断でき生活を豊かにできるからです。

 

 

【論語と算盤】第6章「人格と修養」まとめ

【論語と算盤】まとめ

 

最後に、第6章「人格と修養」の要点をざっくり振り返ります。

  • 人の真価は社会に尽くそうとした精神や効果で判断すべし
  • 知らない事は知らないと素直に言うべし
  • 修養は、学問と現実を調和することが重要
  • 自分を磨くというのは、自分の心を耕し成長させること
  • 「忠信孝弟」を基本に知恵と能力を発展させよう

 

最後まで読んで頂きありがとうございます!

第7章はコチラからどうぞ!

 

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渋沢イズムをより深く知りたい方は本書をいちど手に取ってみることをオススメします。

 

マンガ版も要点が分かりやすくてオススメですよ。

 

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今回は以上です。

 

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